「サンタさん」はもういない…
それは突然だった。
お風呂の中で娘が夫に言ったのだ。
とても仲の良い友達と徹底的に議論した末、
“本当はサンタさんはいなくて、プレゼントはお父さんとお母さんが置いている”
という結論になったということを。
10歳までサンタさんの存在を信じていたのは、奇跡(?)だったかもしれない。
娘が起きないよう、細心の注意を払いながらプレゼントを置いたあの日。
欲しい物が急に変わってしまい、焦りながらプレゼントを探したあの日。
こんなに大変な思いをするくらいなら、早いことバレちゃった方が楽かな?なんて思っていたけれど。
サンタさんがお父さんとお母さんだったって分かってしまって、こんなに寂しい思いをするとは思わなかった…
夫は娘にこう言ったそうだ。
「サンタさんはいないんだって思った瞬間に、サンタさんは見えなくなるんだよ」
その言葉は、赤ちゃんの時から続いた娘の子供時代の一つの幕切れであり、新しいステージへの始まりでもあるのだろう。
娘もうすぐ10歳の秋の日のことだった。